旅するときは、「ここへ行こう」「あれを食べよう」と、いろいろな計画を立てるものですが、次の箱根旅行ではその計画に「こんな本を持って行こう」という項目を追加してみませんか?
そこで今回のテーマは、箱根の旅に連れて行きたい本。
「読みたい本と出会える」と人気の本のセレクトショップ〈SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS〉(東京・渋谷)のスタッフのみなさんのセレクトをご紹介します。
「自分の旅の思い出と照らし合わせながら、笑顔になれる一冊です」と、店長の粕川ゆきさんが勧めてくれたのは、「サザエさん」でお馴染みの長谷川町子さんのエッセイマンガです。
「さまざまな“旅”にまつわるエッセイをまとめたものですが、読んでいると旅に行きたくなります。特に、この本の1話目が母娘旅のエピソードなんですが、そのドタバタの様子に思わず声を出して笑ってしまいながら、『母と旅するとこういうことあるよなぁ』と、自分の母娘旅の思い出と照らし合わせてしまって、『今度はこの本を持って、箱根に母娘旅に行こう……!』そんな気分にさせられる1冊です。そして、旅に持って行った本って、旅の記憶がその本に日記のように刻まれるので、帰ってきてからまたページを開けば、きっとその時の旅の思い出を味わうことができるはずです」(粕川さん)
『サザエさん旅あるき』(長谷川町子著/朝日文庫)
旅先の書店で本を買うのが好き、というスタッフの黒澤雄大さんが「持っていくなら」と挙げてくれたのは、哲学の入門書としてベストセラーになった『プチ哲学』の文庫版です。
「やっぱり旅先に持っていく本は、旅そのものを味わうのがメインなのでさらっと読めるものがいいかなと思うんです。この本はイラストと短い文章で31個のテーマについて語られていて、おもむろに開いたページを読んだり、目次で気になるテーマだけ読んだりできるので、移動中や湯上りのひと時などの細切れの時間に読めるのでおすすめです。そして、哲学といっても難しい話ではなく、考え方のコツ、新しい視点をどう得るかということが書かれているので、温泉で疲れを癒して気分転換できるように、頭のリフレッシュができると思います」(黒澤さん)
『プチ哲学』(佐藤雅彦著/中公文庫)
「箱根が好きで年に1回は行っているんです。箱根といえば山、そして川や滝など水のキレイなところというイメージ。そして水のキレイな箱根といえばそば」と、スタッフの西山萌さん。おすすめは、そば専門誌に掲載された、多彩な書き手の“そば愛”が綴られたエッセイ集です。
「この本にも旅にまつわるそばの話が多いんですが、旅に行くと必ずと行っていいほどそば屋さんが目に入り、つい食べたくなったりしませんか? そばってごく日常の身近な食べ物でありながら、非日常を味わう旅においてもよきパートナーなんです。なので、普段読むよりも、箱根に持って行って読んだ方が、テンションが上がって楽しめそうな気がします。箱根もそばが名物ですから、行く途中に読んで、箱根についたらそばを食べる。帰り道にも読んで、家に帰ったらまたそばを食べる。この本と行く箱根は、そんな旅になりそうです」(西山さん)
『そばと私』(季刊「新そば」編/文春文庫)
新しいカルチャー発信地として注目される「東京・奧渋谷」の先駆け的存在の書店。その名の通り、出版部門と書店部門があり、書店にはスタッフの選書による多彩な本と雑貨が並ぶ。様々なイベントも主催し、本のある暮らしを提案するセレクトショップとして、国内外の本好きからもそうでない人からも、近年、注目を集め続けている。
居心地のよい宿は、旅に欠かせないもの。こだわり派のあなたにおすすめしたいのが2017年4月20日にオープンした「箱根小涌園 天悠」。箱根の“自然”と“和”のおもてなしをコンセプトにした宿で、非日常感を味わうことができます。全客室に温泉の露天風呂を備えていますが、中でもイチオシは特別客室「箱根遊山」。足湯を備えた客室もあり、澄んだ空気のなか足湯につかりながらの読書は、格別の贅沢です。
箱根小涌園 天悠(てんゆう)
住所 神奈川県足柄下郡箱根町二ノ平1297
http://www.ten-yu.com/
※写真協力:箱根全山
※すべての情報は2017年11月30日時点のものです