箱根との関わりが深い方のライフスタイルや考え方を通して、
箱根の魅力を再発見しようという連載。
今回は、箱根の大自然を自転車やハイキングで案内する
「ハコネマウンテンリッパー」主宰の鈴木教仁さんに、
地元で生まれ育った人ならではの箱根への思いを伺いました。
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箱根の魅力であるその大自然は、季節ごとに装いを変え、訪れる観光客を楽しませます。「季節だけじゃありません。この芦ノ湖の美しさも、私が今朝犬の散歩に来た時と、今この昼間、そして夕暮れと、時間によって異なるんです」と教えてくれたのは、ネイチャーガイドとして、人々に箱根の大自然の魅力を案内している鈴木教仁さんです。鈴木さんが主宰するハコネマウンテンリッパーは、マウンテンバイクやハイキングという環境に優しい手段で、箱根の大自然を巡るツアーを行なっています。
「以前オーストラリア一周旅行をしたことがあるんです。その時に、いろいろなエコツアーに参加しました。いくつか体験した時に、『あれ、これって箱根でもできるんじゃないか』と気がついたんです。箱根の大自然だって負けてないぞ、って」
箱根で生まれ育った鈴木さんにとって、この箱根の自然は、子どもの頃から馴染み深いもの。芦ノ湖で水遊びをしたり、森の中を探検したり、秘密の絶景に出会ったり……子どもの頃の体験が、今の仕事の原点になっているのだと言います。
「リッパー(ripper)って、オーストラリアの言い方で『すごくいいね!』みたいな意味なんです。世界のどこにも負けていないこの美しい箱根の自然を、五感を使って味わっていただいて、『すごく良かった!』という思い出を持って帰ってもらいたいと思って、この名前をつけました」
鈴木さんがハコネマウンテンリッパーを立ち上げ、ガイドを始めたのは2009年の春。以来、国内外からのお客さまを箱根の自然へ誘ってきました。
「一番うれしいのはやっぱり、お客さまの笑顔ですね。ツアーが終わって笑顔で『ありがとう!』と言っていただいたり、メールをいただいたりすると、『新しい箱根の魅力を知ってもらえたんだな』と感じられます」
鈴木さんの伝えたい「新しい箱根の魅力」とは、地元の人だからこそ知っている箱根の顔。たとえば、山の中に入ってガイドブックにも載っていない湧き水を案内したり、その時にしか出会えない季節の植物を見せてあげたり。
「そろそろあの水場にクレソンが出るな、とか来週あたり紅葉が見頃になるぞ、とか、毎日この大自然と触れているから、リアルタイムな旬が分かるんです。特に、ガイドを始めてからは『伝えたい』という意識が強くなったので、ますます季節や天候の変化に敏感になりました」
そうやって、箱根の大自然の魅力を、自転車やハイキングというアクティビティを通じて伝えてきた鈴木さんが、次に計画していることは「箱根らしいアウトドアスタイルを発信すること」。
「この環境の中で生まれ育ち、今もここに暮らしを構えている私自身を通じて、箱根らしいアウトドアスタイルを提案していきたいんです。やはり箱根って古くからのリゾート地であり、本当に良いものを知る人やスタイルのある人が昔から多く訪れてきた観光地です。自然以外のスポットもたくさんある。だから大自然を味わったその足で、すてきなレストランでおいしい食事を味わうこともできます。そんな箱根らしく、おしゃれも意識しながらアウトドアを楽しんでほしいと思うんです」
つまり、アウトドア+α(衣食住)を楽しめるのが箱根スタイルということ。そういうスタイルを提案するために、近い将来には、キャンプ場やカフェ、アウトドアグッズのセレクトショップも運営したいと鈴木さんは話します。
「当たり前のように受け取ってきたこの大自然の恵みを改めて感じながら、住む人も観光で訪れる人も、みんなが満足できて、心地よい時間を過ごせるような、かっこいい観光地を目指したいですね」
そこには、箱根で生まれ育った人の矜持、箱根という町を愛する心が感じられました。
ハコネマウンテンリッパー主宰、ガイド。旅行業界で働いた後、国内外の旅先で刺激的な発見を求め多種多様なアウトドアツアーやエコツアーに参加をすると同時にアウトドアツアーガイドとしてのスキルを学ぶ。 その後、生まれ育った箱根をフィールドに「ハコネマウンテンリッパー」を設立。魅力溢れる箱根の大自然やライフスタイルを自身のフィルターを通して発信している。箱根仙石原出身&在住。
※すべての情報は2017年12月26日時点のものです