女子の旅気分をくすぐる箱根は、映画や小説の中でも魅力的。
箱根がロケ地として登場する映画や
箱根を舞台にした小説の世界に浸ってみれば
いつもと違う箱根を体験できることでしょう。
箱根に行ったことがある人も、ない人もチェックしたい
名作ばかりを集めました。
『花とアリス』以来12年ぶりとなった、2016年公開の岩井俊二監督の長編映画。
物語は、派遣教師として働く主人公の七海(黒木華)が、SNSで知り合った男性と結婚式を挙げるところから始まります。
その結婚式場シーンでのロケ地が、仙石原の森のなかに佇む「アルベルゴバンブー」。映画に登場するのは、チャペルと披露宴会場など屋内シーンのみですが、2000坪もある広大な敷地のなかに8年の歳月をかけて建築したという白亜の洋館は息を呑む美しさ。
この駿河湾の海の幸や足柄牛など、地元の素材をたっぷりと使った料理が楽しめるイタリアンレストランで、優雅なひとときを過ごしてみては?
写真/アルベルゴバンブー
リップヴァンウィンクルの花嫁
『リップヴァンウィンクルの花嫁』
DVD発売中
発売・販売元:ポニーキャニオン
通常版DVD¥3,800(本体)+税、Blu-ray¥4,700(本体)+税
プレミアム・ボックスBlu-ray¥13,000(本体)+税
©RVWフィルムパートナーズ
アルベルゴ・バンブー
古代ローマの浴場設計技師ルシウス(阿部寛)が、日本の温泉にタイムスリップして巻き起こす騒動の数々を描いた大ヒットコメディの第2弾。
ルシウスはタイムスリップするたびに日本の風呂文化からヒントを得て、古代ローマの浴場(テルマエ)を魅力的にアップデートしていきます。
本作で登場する日本の温泉はなんと9箇所! で、その舞台の一つが「箱根小涌園ユネッサン」。劇中に登場する丸いプールのような大きな浴槽が「神々のエーゲ海」、ドクターフィッシュの足湯を開催中の「トルコ風ハマム」、そしてスライダーは「ロデオマウンテン」と3ヵ所がロケ地になっています。
実をいうと、原作に登場するスライダーのシーンも「ロデオマウンテン」をイメージして描かれたのだとか。それが、ロケ地に使用されるきっかけになりました。
ルシウスの目線で「箱根小涌園ユネッサン」を楽しめば、古代ローマの一端を感じることができるかもしれません。
写真/箱根小涌園ユネッサン
テルマエ・ロマエⅡ
『テルマエ・ロマエⅡ DVD通常盤』
DVD発売中
¥3,800+税
発売元:フジテレビジョン
販売元:東宝
©2014「テルマエ・ロマエⅡ」製作委員会
箱根小涌園ユネッサン
http://www.yunessun.com
口下手で不器用で妄想することが大好きなOL・木絵(綾瀬はるか)と、人の心が読めるテレパスの光正(斎藤工)との恋を、コミカルな妄想シーンたっぷりに描いたキュートなラブコメディ。
名家である光正の母親から「高台家には釣り合わない」と結婚を反対されたり、自分の考えを見通されたの光正との結婚生活に不安を感じたり……、木絵にはさまざまな問題が押し寄せます。
そして迎えるラストシーンの撮影でロケ場所として使用されているのが、芦ノ湖畔にある「富士芦ノ湖パノラマパーク」。光正の祖母が暮らすイギリスのお屋敷の目の前に広がる風景として登場します。
美しい草原と神秘的な湖が織り成す絶好のロケーションは、まさに箱根ならでは。ぜひ一度その目で確かめて。
写真/紅葉の芦ノ湖(写真協力:箱根全山)
高台家の人々
DVD発売中
通常版DVD¥3,800(本体)+税、
豪華版DVD¥5,800(本体)+税、Blu-ray¥6,700(本体)+税
発売元:フジテレビジョン
販売元:ポニーキャニオン
©2016 フジテレビジョン 東宝 集英社 ©森本梢子/集英社
富士芦ノ湖パノラマパーク
東京と箱根を結ぶ小田急電鉄の特急「ロマンスカー」で働く、優秀なアテンダントの鉢子(大島優子)が主人公。
怪しげな映画プロデューサーの桜庭(大倉孝二)との出会いをきっかけに、何年も会っていない母親を探すために箱根のあちこちを巡る2日間のロードムービーです。
箱根を舞台にした作品だけあって、「ロマンスカー」の車内での撮影はもちろん、「箱根湯本駅」、「大涌谷」、「芦ノ湖」、「塔ノ沢」、そして「箱根登山鉄道」などたくさんの景勝地でロケが行われました。
それらの中でも、元箱根港から望む遊覧船が浮かぶ「芦ノ湖」や、黄金のススキが生い茂る「仙石原」が観光にはおすすめ。観ると箱根に行きたくなること必至の映画です。
写真/箱根湯本(Photo by tsukao)
箱根のお正月の風物詩である駅伝がはじまったのは、1920年のこと。以来、毎年お正月には、戦時中の数年を除いて、大手町~箱根間を、襷をかけたランナーたちが駆け抜けています。
そんな若者たちの熱い青春を描いたのが、『舟を編む』や『まほろ駅前多田便利軒』などで知られる名手・三浦しをん。『風が強く吹いている』では、たった10人しかいない寛政大学陸上競技部の選手たち(陸上経験者は2人だけ!)が、駅伝に挑戦します。
ハイライトのひとつは、復路の箱根~小田原間「山下りの6区」。疾走するユキの目に映るのは、“映画のフィルムよりも速く、なめらかに”移り変わる美しい世界。彼が仲間を、仲間が彼を思う気持ちが重なり合うとき、私たちは声援を送らずにはいられません。毎年数々のドラマを生む駅伝の感動を小説で追体験できる秀作です。
写真/夏の芦ノ湖
「山ガール」という言葉が流行したのはもう7年以上も前のこと。
今では、趣味が登山という女性も珍しい存在ではなくなりました。
国民的作家 湊かなえ(ご本人も大学時代から山登りが趣味とのこと)の『山女日記』は、さまざまな思いを抱えた女性たちが頂きを目指して“山登り”をする連作短編集。
第7話では、デパートで働く主人公が、年下の彼氏に目的地(山)を知らされないまま箱根に連れてこられます。到着したのは、「金時山」の登山口。金太郎伝説の残る山です。一時間半ほどで山頂にたどり着けるやさしいコースに不満げな主人公でしたが、登頂後、頂上で彼女が目にしたのは、言葉にできないほどの美しい光景でした。そして、彼は言葉でも、彼女と私たちに大切なことを教えてくれるのです。
金時山の山頂から見える美しい光景の詳細は、ぜひ本書か現地で。
写真/金時山(写真協力:箱根全山)
自然主義小説家の田山花袋といえば『蒲団』が有名ですが、彼が無類の旅行好きであったことはあまり知られていません。
大正7年に発行された『温泉めぐり』は、北は北海道から南は鹿児島まで、花袋自身が巡った温泉の紀行文集です。
「温泉というものはなつかしいものだ」という書き出しの一文は、現在の私たちにも通じる感覚でしょう。
この本のなかで数少ない感嘆符「!」がつけられた景色の一つが、芦ノ湖に映る「逆さ富士」。
「私は美しい芦の湖の倒さ(さかさ)富士(中略)を見得たことを喜んだ。夕暮れの湖は静かに澄んで、少しの波の皺すらもなく、ちょうど捺したようにはっきりとそこに倒さにその影をひたしている富士!」
約100年前に花袋が称賛した景色は、いまも変わることがありません。花袋の感動を自分の目でも確かめてみて。
写真/芦ノ湖に映る逆さ富士
アニメ「ムーミン」や「ひみつのアッコちゃん」のテーマ曲の作詞、NHK人形劇「ひょっこりひょうたん島」の原作なども手がけた直木賞作家 井上ひさし。
そんなマルチな才能を持つ巨匠が、70歳を超えてから上梓した戯曲が『箱根強羅ホテル』です。
終戦間近の昭和20年5月、ソ連の大使館員に快適な生活を提供するための疎開先として選ばれたのが、戯曲のタイトルにもなった日本屈指の名門「箱根強羅ホテル」。そしてそのホテルでは、国家の命運を左右する“ある”作戦が計画されていた……というあらすじを聞くと身構えてしまいそうですが、そこは井上ひさしさん。シリアスなテーマを、肩の力を抜いて楽しめる喜劇に仕上げています。
この作品のモデルになったのは、1998年まで営業していた実在のホテル「強羅ホテル」で、実際に戦時中にソ連大使館が疎開していたのだとか。厳しい時代背景はあっても、箱根ならではののどかで温かい雰囲気が漂う物語です。
写真/強羅行きの箱根登山電車(春)
居心地のよい宿は、女子旅に欠かせないもの。こだわり派の女子におすすめしたいのが2017年4月20日にオープン予定の「箱根小涌園 天悠」。箱根の“自然”と“和”のおもてなしをコンセプトにした宿で、非日常感を味わうことができます。絶景の大浴場露天風呂や各部屋に設置されたかけ流し温泉の露天風呂など温泉地ならではのしつらえのほか、スパも併設。ロケーションを生かしたアクティビティなど、ここでしかできない体験ができるのも魅力です。
箱根小涌園 天悠(てんゆう)
住所 神奈川県足柄下郡箱根町二ノ平1297
開業 2017年4月20日
予約 受付中
http://www.ten-yu.com/
※すべての情報は2017年2月15日時点のものです