季節は移り変わり、箱根は澄んだ空気に包まれるようになりました。
すっと空は高く、かつてよりも穏やかな光が、山々や湖を照らします。
そんな秋の箱根を今回旅したのは、写真家の千倉志野さん。
カメラを構えながら、どんなことを感じ、どんな瞬間を捉えたのか……
とっておきの箱根をキリトルためのポイントを教えてもらいます。
>>千倉さん連載のフォトコラム“写真家 千倉志野がシャッターを切った「箱根の色と光」”<<
箱根を旅していて、もっとも心に残るもののひとつ、それはやはりその自然の美しさです。四季折々に表情を変える山々、そこに息づく生き物、そしてたゆたう芦ノ湖。そしてそれを私たちにいっそう印象的に見せているのは、光の力です。千倉さんが箱根でつかまえたのは、箱根神社の木漏れ日、芦ノ湖のきらめき、蜘蛛の巣についた露の輝きなど、様々な場所の様々な光です。
「いい光があると、それをつかまえたくて写真を撮ります。今回、箱根神社に行ったときに、雨上がりの緑の間から差し込む光が、神がかったように美しくて、シャッターを切りました。どういう光が美しいのか、それは人によって異なると思いますし説明しにくいですが、それはもうただ直感です」(千倉さん)
「旅の写真を撮る時、何か人の気配を入れたくなるんです。宮ノ下には箱根に暮らしている人の気配があちこちにあります。そういう出会いは旅を記憶に残るものにしてくれる気がします」(千倉さん)
暮らす人も、箱根の個性をカタチづくる要素の一つ。そういう人の気配や街並みをとらえた写真は、旅先の出会いや触れ合った人の温もりを思い出させてくれる一枚になるのかもしれません。
「あるいは、大自然のなかに人を写り込ませる。広々とした芦ノ湖の風景の中、遊覧船に並ぶたくさんの人々とか。その対比が面白い写真になったりします。また、カメラを構えていて、ここに人がいたらいいな〜と思っているところにちょうど人が歩いてきたりしたら、『やった!』と思いますね」(千倉さん)
旅先の写真といえば、泊まっているホテルやレストランなどでの写真も欠かせません。ところが、中から外の景色を撮影したり、外から窓の中を撮影しようとしたりすると、窓ガラスにいろいろなものが写り込んでしまって、うまく撮れない……ということも。
「でも、そういう『写り込み』があることで、印象的な写真になったりします。たとえば、天悠で外から室内を写した写真。窓に外の木々が写り込んでいました。撮ってみると、写り込みのおかげで、はじめに撮ろうと思っていたものとはちょっと違う風景が見えてくることもあるんです」(千倉さん)
撮りたいものをさまざまな角度から見てみて、と千倉さん。しゃがんで見たり、カメラを斜めにして見たり。自分なりの画角を見つけて、ほかでは見たことのない、箱根の旅写真を撮ってみてください。
1977年横浜生まれ。学習院大学文学部在学中に、写真部で一眼レフカメラや暗室作業の面白さに目覚める。大学卒業後、東京でスタジオアシスタントとなる。2003年にドイツ・ベルリンに渡り、2年半の間ドイツ人フォトグラファーAndre RivalとUlrike Schamoniの元でアシスタントを経験。自由な撮影スタイルのドイツ人夫妻と、当時まだ東西分裂の香りの残っていた雑多なベルリンの街に大いに影響を受ける。2006年からフリーランスフォトグラファーに。色と光が印象的な旅の写真や人物の写真を得意として、雑誌や広告の分野で活躍中。
居心地のよい宿は、女子旅に欠かせないもの。こだわり派の女子におすすめしたいのが2017年4月20日にオープンした「箱根小涌園 天悠」。箱根の“自然”と“和”のおもてなしをコンセプトにした宿で、非日常感を味わうことができます。絶景の大浴場露天風呂や各部屋に設置されたかけ流し温泉の露天風呂など温泉地ならではのしつらえのほか、スパも併設。ロケーションを生かしたアクティビティなど、ここでしかできない体験ができるのも魅力です。
箱根小涌園 天悠(てんゆう)
住所 神奈川県足柄下郡箱根町二ノ平1297
http://www.ten-yu.com/
※すべての情報は2017年10月25日時点のものです